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Webテスト代行業者の逮捕に思うこと

 

 

Webテストを受けたことがないであろう自称専門家たち

Webテスト代行業者の逮捕の件で、現代の新卒就活もWebテスティングも経験したことがないであろう自称専門家たちが、YouTubeやテレビで好き勝手言っているのがすごく気になりました。

就活は公正公平であるべきと言いますが、当のマスコミや広告なんてコネ入社の権化みたいなものでしょう。公正公平な就活なんてあるわけがないです。

「そうやってズルをして身の丈に合わない企業に入っても苦労するだけだ」なんてコメントもありますが、そもそもなぜ試験の点数と仕事の出来不出来が正比例している前提で話をするのか疑問です。

少なくとも、SPIや玉手箱の問題を見たことがあればそんなコメントは出てこないはずです。

仕事でバスの平均速度を求める計算をしたり、りんごの個数を求めるために鶴亀算をするシーンがどれだけあるのでしょうか。

コンサルならまだしも、世の中鶴亀算の出来不出来に関係ない仕事の方が多いのではないでしょうか。

簡単な四則演算すらできないレベルの人は、そもそも学歴で切られるでしょうから置いておいて、自力でSPIの偏差値40-60のレンジに入るレベルの人前提で、仕事の出来とSPIの結果の相関性に関するデータがあれば教えて欲しいです。

試験の点数が受験者の学歴に対してあまりにも出来過ぎなのであれば、面接中に数学の問題を出せばいいと言う自称専門家もいました。

外コンのケース面接でもなく、普通のメーカーの面接中に、突然「赤玉3つと白玉3つが〜」とか言い出すんでしょうか。そんな会社聞いたことないです。

今は面接の内容がネット上で共有されますし、面接官が馬鹿なことをすれば、会社の評判もガタ落ちです。

「ごめん、そのままだと落とすけどどうする?」

「こんにちは、〇〇鉛筆の〇〇です。」

「採用は"採ってはいけない人"を見極める仕事だ」

「私は、会社の顏となる人事だからこそ、待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない。」

でお馴染みの方々のように、一生ネットのおもちゃになる可能性もあります。

まともなコンプラ意識を持った会社なら、人事も学生の扱いにはかなりセンシティブになっているはずです。

 

正直者が馬鹿を見る構造になっている

Webテスト受験代行は明確なルール違反だということはみんな分かっています。誰もが分かった上で不正をしています。

これはIBT、いわゆるWebテスティング方式の試験において、正直者が馬鹿をみる構造になっているからだと思います。

今回リスクが顕在化した代行業者ならまだしも、監視なしのテストを友達と一緒に数人で解いたり、解答集のエクセルを見ながら解くくらいならまずバレることはありません。
この程度なら、誰でもやっていることです。
今回の代行業者逮捕の例のように、監視ありのテストでも抜け道はいくらでもあります。

そして何よりも人生がかかっているテストです。テストに通らないと面接にすら行けないのです。

そういった状況の中、高二で数学の勉強を諦めて国公立狙いから私立文系一本にシフトしたような数学が苦手な人にとっては、自分だけ倫理観を拠り所に真面目に一人で問題を解いても損でしかありません。

他の人が不正をして高い点数を取って、面接に進む一方で、真面目に一人で解いてる人は面接に進めない。
不正をしたからといって、そうそうバレることはない。真面目に解いたからといって、得をすることもない。
だから、元々真面目な人も不平等さを感じて不正に走る。

僕が言いたい、正直者が馬鹿を見るというのはこういうことです。

結論、正直者が馬鹿を見るのがWebテスト含めた新卒の就活の現状で、これを代行業者と学生だけのせいにするのはあまりにも視野狭窄だということです。

 

ではどうするのか

IBTの不正問題は、SPI、玉手箱、TG-WEBといった試験の種類に限らず、CBTにすれば解決する話です。
実際のところ、本選考ならテストセンターを使う企業の方が多いのではないでしょうか。

とはいっても、世の中の企業全部がテストセンターをポンポン使えるかというと予算上の問題で難しいところもあると思います。

企業にとってはIBTよりもCBTの方がコストがかかります。監視型IBTもしかりで、従来の監視なしのIBTよりもコストがかかります。

企業視点で見ると、監視機能にかかる追加コストに対して、それだけのメリットがあるのか、というところですよね。

 

企業は堂々と学歴フィルターをかければいいのでは

駅弁大卒の自分はどちらかと言うと学歴フィルターで篩い落とされる側の人間だと思いますが、それでも企業は堂々と学歴フィルターを公言すればいいのではと思います。

例えば、MARCH、関関同立レベル未満の人は自動的にWebテストの前に落とすと公言すればいい。

そもそも大卒と高卒を区別しているのも学歴フィルターです。なぜ大卒と高卒の区別が許されて、大卒間での区別が許されないのか理解できません。

大卒の間でも事実として学歴フィルターは存在するのですから、企業がそれを公言することで、学生は入社できる可能性がない企業向けにESを作って、テストセンターに行く労力を減らすことができます。

企業も学生を落とす建前程度の意味しかないテスト代と、嘘マシマシのESを捌く時間を減らすことができます。

学歴フィルターを非難する人の多くは学歴フィルターで篩い落とされる側の人間でしょうが、それまでの人生で努力してこなかったのは自分のせいで、自身の責任を企業に転嫁しているようにしか聞こえません。

自身の怠惰以外の、例えば家庭の事情のような外的な要因や、病気などの不可抗力で仕方のない運の悪さも含めて、もろもろ受け入れるしかないと思います。
社会人になってから這い上がるしかない。

僕がポケモンカードとデュエルマスターズに熱中していた間、東京の小中学生は小さい時からSAPIXに通って、死にものぐるいで勉強していただけの話です。

僕はそれを親のせいにもしませんし、企業のせいにもしません。

僕だってSAPIXでは得られない、大切なことをポケカとデュエマから得ました。お母さんお父さんありがとう。知らんけど。

中途MBA採用の求人を見ていると、Global MBAランキングトップ30校と、応募者の出身校を暗に限定している求人もありました。

新卒採用でも、どこか勇気のある会社が先陣を切って学歴フィルターの存在を公言すれば、いずれは日本社会のスタンダートになるかもしれません。