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ド素人の僕が自衛隊の大学生向けツアーに参加した時の話

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こんにちは、猫マグロです。
今回は自衛隊サマーツアーに参加した時のお話しです。

 

 

防衛省・自衛隊大学生等サマーツアーとは

 

自衛隊サマーツアーとは防衛省が毎年夏に開催している、

「自衛隊に体験入隊したり、装備や施設を見学したり、隊員と交流することで自衛隊に関する知識を深めていってね。その上でもしよかったら幹部候補として自衛隊に入ってね」

という大学生向けのツアーです。

 

参加するためにはエントリーシートを提出して選考を通過する必要がありますが、国防と自衛隊に対する熱い想いを表現し、無事通過しました。
担当の方から聞いた話ですが、男性は倍率が高く2〜5倍。女性は2倍もないそうですので、女性の方はぜひぜひ応募してみて下さい。参加者は男女半々です。
当日は40人の学生が参加していましたが、ほとんどは日本の安全保障に関心があるか、自衛隊に興味がある学生で、僕のように興味本位で参加した人は少数でした。

 

サマーツアーのレポート 

前日・大阪南港から門司へ

 

フェリーで大阪南港から門司へ行きます。人生初のフェリーは思っていたよりも揺れましたが、4000円ちょっとでこれは快適だと思いました。遅いですがwifiも使えました。門司から小倉に移動し、小倉のゲストハウスで一泊。

 

1日目・航空自衛隊

 

台風で予定変更の可能性があり、待機せよとの指示がありました。結局1時間遅れで航空自衛隊の基地へ向かいました。
空自では練習機、救難機、輸送機等の見学がメイン。撮影禁止の場所が多かったですが、練習機のコックピットに乗り込んで撮影ができました。
夜には飲み会。酔っ払った隊員の愚痴をきき、自衛隊員の人間らしさを感じた一日でした。基地内の宿舎に一泊。この時に自衛隊式のシーツの畳み方を仕込まれます。 

 

2日目・陸上自衛隊

 

輸送機に乗って福岡空港に行き、陸自の駐屯地へ。陸自では体験入隊という形でグループごとに担当の隊員がつき、食事や睡眠まで行動をともにします。隊員が着ている制服とおなじものを支給され、ちょっとテンションが上がります。
午後からは集団行動を仕込まれました。
「まわれ〜〜〜〜〜右っ!!!!」「縦隊前へ〜〜〜〜〜〜進めっ!!」
こんな感じで駐屯地内では隊列を組んで移動します。
またまた飲み会。空自と違い陸自は”THE体育会系”で、みんな瓶ビールラッパ飲み。残念ですが僕はお酒が飲めません。夜は天幕で寝ましたが、隣の学生のいびきがひどくてほとんど眠れませんでした。

 

3日目・陸上自衛隊

 

駐屯地内の資料館や実際に使われている車両を見学したり、よくわからない車両に乗って駐屯地内をぐるっと回ります。自衛隊の車両は素人にはよくわからないものばかり。車両の内部は軍事機密で撮影禁止のものが多くありました。ほとんどが川崎重工、三菱重工、コマツ製です。
午後からは自衛隊内で最も過酷な訓練の一つと噂のレンジャー訓練。駐屯地内にはレンジャー棟という訓練施設があって、綱渡りをさせてもらいました。バランスをとるのが難しく、重心がちょっとずれただけで落ちてしまいます。
実際のレンジャー訓練を修了すると特別なバッジがもらえるのですが、そのバッジをつけた隊員の方が十数メートルの高さからロープ一本でスーッと降りてきたり、僕が何度もひっくり返った綱渡りを危なげなくこなします。本当にすごいと思いました。

  

4日目・海上自衛隊

 

普段は6時起床ですが、この日は緊急招集だと5時に叩き起こされます。5分で着替えを済ませて集合しないといけません。その後身支度を整えて、輸送機で海自の基地へ。
海上自衛隊ですが航空隊の基地なので船ではなくヘリや飛行機の見学がほとんど。管制塔内を見せてもらったり、機雷撤去や消火活動の実演をしていただきました。
最後は焼き肉へ。二次会でカラオケに行くリア充、スナックへ行く野郎たち、こそこそホテルに帰る勝ち組、酔っ払った女子を介抱してしょぼくれる男などなど。ここでカラオケに行く奴がモテるんだろうなと思いながらも、酔っぱらいの女子をビリヤード場に連れ込み、深夜まで一人黙々と玉をつきました。

  

5日目・海上自衛隊

 

佐世保にてイージス艦の船内見学と通称”海自カレー”をいただきました。食堂の机の上に自殺防止のための注意事項が箇条書きにされていて生々しさを感じました。
航海に出ると隊員の多くは三段ベッドが並べられた相部屋で過ごします。携帯の電波も届かなくなるため、家族とも会えないし娯楽もない。もちろんプライバシーもありません。 
有名な海自カレーは評判通り美味しかったです。食堂に関しては陸自と空自は民間委託ですが、海自だけは隊員がつくるらしい。

 

自衛隊に対するイメージの変化

 

空自はスマートでかっこいいい、陸自の雰囲気はよくある軍隊、海自は船乗りって感じです。個人の主体性が求められる民間企業とはちがって、自衛隊員はとても従属的です。”上から言われたことをこなす。任務を確実に遂行する”が個人の存在価値です。15万人の隊員を統率するためにつくられたシステムなんだと思いますが、自衛隊の基地・駐屯地内の雰囲気は異世界のようでした。

陸自の飲み会では、「俺たちは国民を守るために戦わないといけない」と隊員の方が酔っ払いながら仰っていました。国防に対する確かな使命感を感じたし、自分たちの仕事に誇りを持っている様子が伝わりました。酔っ払ってたけど。 

「国会前で太鼓を叩いて平和が守れるなら世界に戦争なんて起きない。」

「太鼓叩いてる奴らが戦いに行くわけじゃねぇ。行くのは俺たちだ。」

国会前で学生が集まってやっていたデモのことを言っていたのだと思いますが、彼らに対するこれ以上ない痛烈な皮肉であると同時に、北朝鮮がミサイルを発射した後だったので説得力がありました。

九州地区の基地・駐屯地ということもあり、熊本の震災時の活躍を教えていただくことも多かったです。自衛隊の主たる任務は国家・国民の防衛であり、災害時の対応は副次的な任務だということもはじめて知りました。

陸上自衛隊なのに船を持っていて、海上自衛隊なのに飛行機を持っている。税金の無駄遣いじゃないのかと疑問に思ったので聞いてみたところ、戦闘が想定されるフィールド毎に陸海空が役割分担をしていて、たとえば陸自でも補給や救護のためには飛行機が必要なので、任務遂行の上で必要となる車両は各隊が個別に装備を持っているとのこと。
だから、海自と空自が同じヘリコプターを持っていたりするし、その用途も同じだったり違ったりする。 

 

考え方の変化

 

平和だ平和だと言っているだけじゃ平和にはならない。北朝鮮のような脅威がすぐ近くに存在する。一台で何億円もする設備を税金でたくさん買うのは、それが抑止力に繋がるから。
とはいうものの、何かがあった時にすぐに実力行使ができるかと言うと法律の壁がある。日本の法ではたとえ飛行機が領空内に侵入してもそれを撃墜することはできない。空爆が開始される瞬間、機体の底がパカっと開いて、爆弾が投下される確率が100%となり、国民の生命を脅かすことを確信できた時にはじめて撃墜できる。
というのが現行の法だから、どれだけの装備を持っていても丸腰というか、要するにやられる前にやれないのだと言う。
平和な環境だったらそれでいいけれど、残念なことに日本の周りにはやんちゃな国がいっぱいある。

 

色々考えさせられることもあったけれど、(飲み会以外は)楽しかったです。大学生のうちにしか体験できないことなので、ぜひ参加してみて下さい。